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現代印地考~その1/(手裏剣術)

2014年 03月07日 00:21 (金)

 国内では通り魔やら、海外では武力介入やら、なんとも騒然とした世の中である。

 一方で自分はといえば、この冬三度目の風邪でダウン。しかし生業の締め切りは山盛りで、3月はニッチもサッチもいかない状況。嗚呼、人生不可解也・・・。


 時々、思慮の足りない人が、「手裏剣の先生は、普段から手裏剣を持ち歩いているんですか?」などと、脳内お花畑全開の質問をしてくることがある。

 日本は法治国家であるからして、稽古でもないのに手裏剣などを持ち歩けば、軽犯罪法違反や銃刀法違反などで、簡単に手が後ろに回ってしまう。ことに最近は、お上の規制が非常に厳くなっているので注意が必要だ。しかも、この手の違反で取り上げられた刃物類は返却してもらえないから、あたら大切な武具を没収されたりしないためにも、むやみに持ち歩いたりするものではない。

 そもそも真っ当な現代の武芸者は、刃物や手裏剣など持ち歩かないのだよ、関口君(by京極堂風)。

 とはいえ、世相騒然たる今日この頃であるからして、丸腰で歩くのはいささか心もとない・・・、という気持ちもわからないではない。

 和装であれば、鉄扇の一本も帯に手挟んでおけばいいのだが、洋装の場合はそういうわけにもいかぬ。そこでまあ、平成に武芸を嗜む人は、それぞれ自分なりに護身の工夫をしていることが少なくない。

 さてそれでは、平成の手裏剣術者たるもの、いざ日常で己や周囲の人々の身を守らなければならぬというときは、どうすればよいかといえば、それこそ身の回りのものすべてを「手裏剣に打つ」のである。

 私のおすすめは、文庫本だ。

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▲文庫本を手裏剣に打つ。手之内はこの写真の通り。
200ページくらいの厚さが頃合だ


 文庫本を手裏剣に打つ場合の「大事」は以下の通り。

一つ、背表紙を相手に向けて打つ
一つ、間合は一間半以内
一つ、相手の両目と口の3点が作る三角形を狙う
一つ、打剣後は、一気に相手を制圧するか速やかにその場を立ち去る
一つ、年に2~3回は実際に的に対して打ってみる

 日常から手裏剣術の稽古に習熟し、三間尺的程度の業前の者であれば、間合二間で文庫本を尺的に当てることは簡単だ。しかし、実際に打ってみると分かるが、間合二間では、直打で打っても本のページが開いてばたつくことがあり、速度がいささか落ちてしまう。このため、武芸/護身として実用的な文庫本の間合は一間半以内である。

 逆に一間半以内で的中した場合、文庫本手裏剣は、かなりの威力がある。これは手裏剣術の地稽古(対人稽古)をしている者であれば分かることだが、顔面とは実にデリケートな部分で、毛筆の筆が目頭や鼻に当たっただけでも、動きが一瞬とまってしまうものである。

 ましてや文庫本は、たとえば200ページほどの一般的なもので、重さは約150グラムある! これは重量手裏剣並みの重さだ。ちなみに野球の硬球は、5オンスないし5オンス1/4(141・7~148・8グラム)となる。また文庫本を間合一間半程度から直打で打つと、普通の腕前の手裏剣術者であれば、背表紙の角を標的に当てることも容易なので、その威力はちょっとしたものになる。

 さて、ここで大切なことは、ただ身の回りのものを手裏剣に打てば良いのではなく、その後の身の処し方である。

 見事に相手の顔面に文庫本が的中したとしても、相手が動きを止めるのは、2~3秒であると心得るべきである。この2~3秒を活かし、一気呵成に相手を制圧するか、あるいは速やかにその場を立ち去らなくてはならない。

 的当ての手裏剣術だけしか稽古していないと、この「打剣後の大事」つまり「制敵」ができないのである。

 だからこそ現代において、「武術としての手裏剣術」を志すのであれば、必ず柔術なり空手道なり、あるいは柔道、合気道、拳法など、なんらかの体術を最低限併習しておくことが重要なのだ。


 以上、文庫本を手裏剣に打つ場合の注意点をまとめたが、手裏剣術者たるもの、文庫本だけでなく、あらゆるものを「手裏剣に打つ」心構えが重要である。

 携帯電話やスマートフォンなどは、重量的にも形状的にも、現代の印地打ちには手ごろと思うのだが、なにしろコストが高いのが難点だ(笑)。ちなみに一空流の白上一空軒師は、日常の護身では、ゴルフボールを手裏剣に打つことを推奨している。

 私個人は仕事柄、普段から筆記用具を必ず携帯しているので、いつも持ち歩いている3本のペリカーノジュニア(インクフル充填で重さ約20グラム、全長150ミリ)を手裏剣に打って、二間以内で三寸的に対し必中できる(爆)。

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▲ペリカーノジュニアを手裏剣に打つ!? ちなみに
コイツのペン先は、ステンレス製なのもポイント


 という訳で、本や文房具は大切に扱いましょう・・・。

 
 さて、こうした日常的な事物をそのまま「手裏剣に打つ」方法のほかに、日常的な物にひと工夫を加えた、合法的に携帯できる投げ物(投擲武器)が、古流などには口伝として伝わっていることが少なくない。

 次回は、こうした投擲武器の一端を、ほんの少しだが紹介しようかと思う。

 (了)
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