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平成の剣客商売/(武術・武道)

2009年 02月20日 16:26 (金)

 とりあえずPC環境が最低限整い、ホームページやブログも、元通り運営できるようになった。ただ、朝一番にPCを起動する際、XPが1度では立ち上がらず、必ず2~3回、電源強制終了をしなければならないのが、悩みのタネなのだが・・・。

  ★

 過日、武友との対話で武術・武道にかかるコストの話となった。

 一般的にわれわれ武術・武道人は、こと金にかかわることは「はしたない」というイメージからか、あまり表立って話題にすることが少ない。しかし、世界大不況の折、この春までに数十万人が職を失うという世の中では、お金の問題は避けて通ることはできない話題である・・・。

 またちょうど今は確定申告の時期。私はフリーの記者として、ここ15年、毎年自分で申告書を作成している。なにしろ簿記2級だ。

 そんなこんなで、武術・武道とお金の問題についてちょっと考えてみた。

  ★

 たとえば、わが翠月庵の家賃は、家主さんの好意できわめて安価に設定していただいている。具体的に言ってしまえば、月3000円だ(しまった! 今月の家賃をまだ振り込んでいないではないか!)。また、私は都内の練馬区に住んでいるので、翠月庵のある行田駅までは、毎週片道2時間かけて、のこのこ電車で通っている。この交通費が、往復1回2300円かかる。

 以上の地代家賃と旅費交通費だけで、毎月1万2200円、年間で黙っていても14万6400円がかかるわけだ。

 一方で、会員さんからいただく会費は、初回の事務登録費が3000円(これは道場設立時にかかった経費の減価償却等にあてている)、参加費は1回2時間1000円である。

 それでは、昨年1年間の事務手数料・会費収入の総額は・・・・。

 総額は・・・。
 
 ・・・。

 あははははは・・・・・。


 まあ端的に言うと、年間の経費合計の1割くらいである・・・。

 そりゃあ、的にも使えない古畳の廃棄さえできねぇってもんだ。まあ、貧乏&不人気道場であることには、むしろ平成の武術・武道人として、いささかの誇りさえ感じているので、それはそれでよい、マジで。


 さて、

 翠月庵の基本的な運営経費以外に、市村個人としての、武術・武道に関するさまざまな支出がある。

 まずは私が個人的に所属している空手道場の月謝。月7000円で年間8万4000円。稽古場までの交通費が年間1万7000円。これに、都空連の登録料やら道場関連の交際費、体育館の使用代やスポーツ障害保険料などで、なんやかんやと年間2万円くらいはかかる。これらをざっと合計すると、月謝も含め年間12万円位の支出であろう。

 次に武友との交流として、私は大体、年間2~4回くらい県外へ出稽古に行く。行く先や滞在期間によってもさまざまだが、たとえば昨年は2回ほど交流・出稽古にでかけ、これにかかった経費が旅費交通費を中心に、だいたい4万円くらいであった。


 一方で、消耗品など、武術・武道に関する物品関連の経費であるが、これらは長年稽古を続けていると、たいがいのものはそろうので、ここ数年はほとんどお金がかからない。

 昨年の例では、飛刀術の稽古用に買った模造刀の脇差5000円、剣術教習用手裏剣術研究のために買った棒手裏剣1本2000円、武術関連の書籍や資料の購入費が1万5000円くらい。合計でおよそ2万2000円くらいである。

 しかし、袖口と股下が破れている10年ものの空手着で妙齢の女子有級者に指導をしたり、某流儀の胸の刺繍部分を当て布で隠した居合着で手裏剣を打ったり居合を抜いたりしていると、ときおりたいへん怪訝な顔をされるので、それはそれでけっこう面倒くさい・・・。


 とまあ、こんな感じで合計すると、私が1年間に武術・武道に使う経費は、

・翠月庵運営費/13万円
・空手関連経費/12万円
・交際費/      4万円
・武具など雑費/  2万円
・合計/      31万円

 となる。

 年間約30万円。
 10年で300万円。

 これを高いとみるか、安いとみるのかは、科学的命題ではなく価値的命題であるので、ここではあえてコメントしない。

  ★

 一般的に、武術・武道は初期投資がかかるもので、入門時に稽古着やら武具やらをまとめて一括購入すると、入会金や年会費、月謝など含めて、最初に支払う金額が5万円も10万円もかかることが少なくない。

 手裏剣なんて、普通にWEBで買ったら1本5000円とかするしな。10本そろえたら5万円だ!

 これについては、以前、某新興会派の居合の会長が、「入門者の初期投資は高いほどよい。なぜなら最初にお金をかけることで、本人が『お金がもったいないから』と、会を退会しにくくなるから」と語っていた。

 この人はもともと実に商売上手な人だったそうで、某流を割って自分の会派を立ち上げた際も、ごく短期間で一気に会員数を100人単位に伸ばしたという。月謝1万円として生徒150人で月収150万円。年収1800万円!さらにこの会派は公営体育館での活動がメインのようなので、運営者側の初期設備投資はほぼゼロ。さらに、居合刀など武具や稽古着の斡旋やらなにやらでの収入も含めると・・・、笑いが止まらんでしょうなあ。

 そりゃあ古巣の師範連に「インチキ」だの「恩知らず」だなどと批判されても、まったく動じないはずである。

 これぞまさに、平成の剣客商売。

 その点、翠月庵の場合、稽古着不要、手裏剣は貸し出すので武具購入費も不要、入会者の初期投資は初回事務手数料と参加費で合計4000円でスタート。おまけに月謝ではなく1回1000円の毎回参加費制なので、まあ、その結果はご存知の通りである(笑)。

 これも以前、とある伝統芸(武術・武道ではない)の宗家に聞いた話しだが、習い事というのは、毎月月謝を払ってくれる会員がざっと100人以上あつまれば、実に儲かる商売だという。さらに、用具に金のかかるものほど、斡旋によるキックバックやピンはねの利ざやが大きいし、買った側は買った側で、「これだけのものを買ったのだから」と、稽古に身が入るのだという。これに免状などの位階制度が加わると、さらに利益率が上がる。

 武術・武道だけでなく、茶道などでも、許しの免状や指導資格を得るための審査ごとに料金がかかるし、受かったら受かったで、束脩(そくしゅう)という名の師範へのお礼も包まねばならない。しかしまあ、こうした投資も、自分が師範なり流儀の幹部なりになれば、それなりに回収できるのだろうが。


 これはほんとうにざっくりとしたイメージでしかないのだが、現代社会において、武術・武道でも茶道や華道でも、習い事・芸事で、ある程度人を教えるような立場にまでなるには、時間的には最短で10年くらい、投資額で言えば合計で100~300万円くらいのお金が必要になるのが、一般的な平均値ではないだろうか。

 この100万円なり300万円なりの投資と、さらに金額に換算できない最低でも10年間という人生における時間的コストを、その後、後進たちから回収しようとするのか、それとも還元しようとするのか?

 このあたりの考え方あるいは(武)芸に対する姿勢が、個々の流儀や会派、稽古場の月謝等、「お金」の問題に反映されるのだと思って間違いはないだろう。

  ★

~戦国乱世は遠い昔のことながら、武士の魂やはり剣。あえて戦がなければこそ、腕におぼえの剣客どもは、売り込み合戦に明け暮れる。いやまさしく、昨今、剣術は商売なり。~(『剣客商売』ナレーションより)

 (了)
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