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『魔法の奥の手 : 神秘鬼没虚術自在』を読む/(武術・武道)

2013年 09月29日 17:16 (日)

 国立国会図書館HPの「近代デジタルライブラリー」で、手裏剣術関連の資料を探していたところ、ちょっと面白いものを見つけた。

 タイトルは、『魔法の奥の手 : 神秘鬼没虚術自在』である。

 内容は、「千変万化 仙人術妖魔術秘伝 仙人術修業上達法」、「秘密魔法変化自在 隠身術の極意」、「腕力強大術秘伝(増力法)」、「早歩急足 健脚術の秘伝」、「活殺自在 体術(柔術)の独習秘伝」、「実地活用 武術の極意」、「実地活用秘伝」、「奇々妙々 魔術の奥の手」と、大きく8部に分かれている。

 内容の半分は「水の流れを止むる秘術」とか「不老不死の霊法」、あるいは忍者系の駄法螺の数々であるが、残りの半分は、柔術をはじめとした武術の雑多な口伝・心得・稽古法解説となっている。


 蛇足ながら、このような武術と心霊・超能力系ダボラの親和性というのは、今も昔も変わらず高いようだ。

 なにしろイプシロンが飛ぶ平成のこの時代に、本屋で堂々と売られている武術雑誌を開いてみれば、謎の老人から伝授されたという武芸を伝える人や、イタコのように古人の術を再現する人が講釈をたれていたり、挙句の果てには「空中浮遊」ができると自称するヨガの導師(ダイダバッタかい!)が、真顔で対談したりしているのだ・・・。

 草葉の陰で、カール・セーガン博士が泣いているぜ。時代は変われど「ヒト」というサルのやることは、あまり進歩しないらしい・・・。

 閑話休題。


 さて、この『魔法の奥の手 : 神秘鬼没虚術自在』のなかに、「手裏剣術の秘伝」という一文がある。その内容を、以下に全文掲載しよう。


「切っ先を我が体の方に向けて握るのであるが、切先を中指のへんより先に出し、掌に乗せて拇指でかすかに押さえて持つ方法もあります」


 以上。

 ・・・・・・。

 たったこれだけの説明で、秘伝もへちまもあるまい。全文で3行しか説明がないし、これを読んだだけでは、たぶん手裏剣は打てなかっただろうなと思う。

 ただ、手裏剣術者の立場から興味深いのは、はじめに手裏剣の切先を自分の方に向ける手之内、つまり反転打・回転打での打ち方を説明し、その後、付帯的に切先を的に向けた手之内、つまり直打法を解説していることである。

 先のブログで紹介した山田次郎吉の解説でもそうだったが、この記述を読んでも、明治・大正時代において手裏剣術の打法のスタンダードは、直打ではなく反転打や回転打だったのではなかろうか・・・、という推察もできる。


 本書は、前半の仙人術や魔術、忍術などの駄法螺に比べると、後半の柔術を中心とした武術の記述は割合まともだ。

 たとえば柔術必勝法として、

「柔術にて勝ちを取るには、腕を折るか喉を締めるか、睾丸を絞めるか、肋三枚を挫くかなりとす。また眉間を打ち、或いは睾丸を蹴るは肝要の手わざなり。居取なれば膝を掛けることと、立合にては足を掛けること、すべて体をかわすこと、当てを入れることは大なる心得事にて、これらを防ぐことも心得ることなり」


 と、当身の重要性を指摘していることなどには、多いに注目をしたい。

 なお当身の解説などは、急所の名称などから、おそらく天真神真揚流系を参考にしているのではないかと思われる。また遠当てについても、感応・暗示系と投擲物のそれぞれをきちんと説明しているなど、武芸の解説としてきわめて真っ当である。

 というわけで、これから本書を参考に、「人間飛行自在の仙術」の稽古でもするか・・・(爆)。


■出典
『魔法の奥の手 : 神秘鬼没虚術自在』秘術研究館 編/千代田出版部(大正6年)

国立国会図書館 近代デジタルライブラリー
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/907495

 (了)
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