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09冬・北陸紀行 その1/(旅)

2009年 01月16日 19:18 (金)

1日目
旅程/東京~越後湯沢~金沢~福井(泊)


 早朝6時半の上越新幹線で越後湯沢へ。

 毎度、おなじみの『青春18きっぷの旅』の取材である。毎年3回発売されるJRの「青春18きっぷ」は、日本全国のJR各社の路線が5日間乗り放題という特別切符。「青春~」という名称だが、もちろん購入や使用に年齢制限はない。ちょっと前までは、ビンボーな学生が長距離旅行をするための定番切符であったのが、最近では団塊の世代が、交通費を安くあげて、その分余った予算を食事や宿に当てるようなやり方で利用するパターンも増えてきた。

 この切符の発売に合わせ、毎年3回、某社から出版されるガイドブックの取材・撮影記者として依頼を受けるようになって、今回で3年目となる。

 一般的に、この手の旅行書籍の取材では、たとえば記事上で設定したコースが3泊4日である場合でも、実際の取材は、ピンポイントで必要なところだけで行い、1~2泊の行程で済ますことが多い。経費削減のためである。

 ところがこの本の編集部は最近では珍しくガッツがあるのか、「基本的に、すべてコース通りに取材してください!」っと胸を張る。たしかに、読者に対する誠意という意味では美しいのだが、こちらとしてはそれだけ取材に日数がかかり、手間も増える。時間当たりの利益率を計算すると、この道17年の私のギャラが、大学生のコンビニのバイトに毛が生えた程度になってしまうのは、いささか悲しい。なにしろ3日間、毎日12時間以上、移動・取材・撮影を一人で行い、ページ1万円ちょっとのギャラ(経費は別途)なのだ。

 6ページ書いて6万円として・・・。

 取材準備に4時間、取材(撮影も込み)3日で実働36時間。写真整理で4時間。原稿書きで3時間。校正で2時間。合計49時間。時給で1224円である(涙)。

 ちなみに、10年前は、この2~3倍の料金が一般的であった。

 まあ、トラベルライター&カメラマンなどといえばかっこいいかもしれないが、平成大不況下の実情は、著名な作家先生や写真家先生でもないかぎり、だいたい各社とも、こんなもんである。海外取材の場合でも、これにちょっと色がつくくらいだ。

 人生の選択、誤ったか・・・(笑)。


 上毛高原駅を越えると、車窓の風景は、突如として雪景色となる。

 越後湯沢からは、北陸本線の特急はくたか2号に乗り換え。当初、取材予定を組んだ業界2年目の新人編集者君のスケジュールでは、8:37湯沢着、乗り換え3分で出発という予定であった。

 あのねえ、新幹線と在来線の乗り換えはさ、ホームが離れているからリスキーなのだよ。おまけに、旅行者じゃなくて取材者のばやい、機材やらなにやらで、基本、重装備なわけだ。つまり、3分乗り換えっつう設定は、「旅のプロの仕事」じゃあないのだよねえ・・・。

 ということで、現場判断で東京発の新幹線を1本前倒しにしておいたので、乗り換え時間20分が確保できた。実際のところ3分では、乗り換えはできなかったと思われる。

 泣けるぜ・・・。

 はくたか2号に乗り換えて、一路、金沢へ向かう。雪は列車が進むごとに激しい降り。うつらうつらとしつつ、ときおり目覚めると、日本海の波打ち際の雪景色。

 この風景は、演歌だ!

 11時前に金沢に到着。加賀はこれで4回目である。もっとも、これまでは3回とも、学会や金沢大学でのお固い医学関連インタビューであり、旅の仕事では初めてだ。

 まずは周遊バスで兼六園へ。名物の雪つりが、一面の雪景色によく映える。

兼六園
▲天下の名園・兼六園


 絶好の被写体・・・といいたいところだが、今回の本は3月発売。しかも「桜を探す北陸~京の旅」というテーマなのである。ほとんど「いってきました!」というアリバイ作りみたいな仕事だね、こりゃあ。

 兼六園に隣接する金沢城は、数年前に、個人的にたっぷり見たので、今回は時間の関係もあり内部の見学は省略。雪の積もる櫓が美しい。ま、復元なんだが。

金沢城
▲お壕も凍る金沢城


 ここから金沢の台所・近江町市場まで歩く。市場は三連休明けの平日の昼だけに、いささか閑散としている。カニはだいたい、1箱5000円からが相場のようだ。

近江町市場
▲加賀のカニ。10年ほど前、加賀・山代温泉の老舗旅館で7日間、毎日3食、悲しくなるまでカニ料理を食わされて以来、嫌いではないがありがたいとも思わなくなった・・・

 市場の一角にある味処で、2900円の海鮮丼を撮影。その後、食べる。撮影用&記事執筆のためなので、タダである。まあ、これが低賃金旅行記者の、数少ない役得でもあるわけだ。旬の寒ブリ、トロ、カニ、エビ、などなどが、これでもかとてんこ盛の海鮮丼。

 当然ながら・・・うまい!

 満腹になったところで、腹ごなしに金沢駅まで雪を踏み踏み歩く。


 ここから再び北陸本線に乗り、越前・福井へ向かう。

 金沢と違い、福井は初めて訪れる土地だ。これで、日本国内で旅したことのない都道府県は、宮崎と大分、徳島と山口の4県になった。ちなみに、地球上で自分の足で踏んでいない大陸は、南米大陸とアフリカ大陸と南極である。北極圏は18年ほど前に行ったが、あそこは海で陸地じゃあないしな。

 福井といえば・・・、永平寺? それ以外は、よく知らない。まあ、トラベルライターといっても、こんなもんである。福井県の皆さん、ごめんなさい。

 福井駅に着けば、もう18時。足羽川沿いの宿で旅装を解く。通常はこのようにチェックインした後も撮影があることが多いが、今回は写真は借りてすますので、記事の執筆用に泊まるだけ。

 楽である。

 川を眺める大浴場にのんびりつかり、郷土料理店で、ひとり杯を傾ける。

 仲居さんのおすすめ、一本義という地酒をぬる燗で。これはなかなかいける! 肴は渋く、塩ウニとブリ。イザベラ・バードの『朝鮮紀行』を読みながら、杯を重ねてゆく。バード女史は朝鮮の金剛山の風光明媚さを絶賛しているが、これは私も賛同できる。「38度線を越えて、金剛山に登ったのは、もう4~5年前か・・・」などと感傷にひたりつつ、〆は越前そばと最近のご当地グルメだというソースカツ丼で。

 ほどよい酔い心地で、越前の夜が更けていく・・・・。

 (つづく)
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