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7月の読書備忘録~あるいは大人の夏休み課題図書/(書評)

2012年 07月24日 01:15 (火)

 前回は7月に見た主な映画。今回は7月に読んだ、主な本の寸評。


・『新解 函館戦争――幕末箱館の海陸戦を一日ごとに再現する』(兵頭二十八/元就出版社)

 二股口で土方歳三指揮の軍が無類の強さを誇ったのは、兵站線の短さと野戦築城のためだった。海軍力だけでは、戦争は決しない。ところで、陸自は定員を減らす傾向だが、それでよいのか? 来るべき中共軍との南西諸島戦争に向けて、読んでおくべき一冊。


・『 西南戦争―西郷隆盛と日本最後の内戦』 (小川原 正道/中公新書)

 再読。薩軍と新政府軍、それぞれが消耗した弾薬の数、迂回上陸による挟撃を可能にする海上輸送力。これらを比較すれば、両者の戦力差は一目瞭然。それでも決起するしかなかったところに、士族反乱の根本があるのだろう。それにしても、こうした身近でなまなましい戦訓を、なぜ昭和の軍人は活かせなかったのか? 弾と飯と足、そしてビジョンと大義のない軍隊は勝てないのだ。


・『放哉全集(1)~(3)』(筑摩書房)

 これまで昭和に編まれた一巻本の全集しかもっていなかったが、思い切って購入。自由律俳句の天才・尾崎放哉の全俳句、随筆、全書簡、日記などを網羅した決定版。命を削るように磨いた秀句の数々はもとより、その膨大な書簡は、ひとつの文学であり、大正という時代をはみ出した、悲しい現代人・放哉の姿を生々しく伝えている。


・『奥の細道』(松尾芭蕉/岩波文庫)

 再読。本文と併せて掲載されている曾良日記を味読。芭蕉の紀行は旅の行程のそこかしこが省略されているが、曾良の日記を読むと、二人の旅の日常をよりリアルに知ることができる。蚤や虱にたかられ、風雨にさらされ、時には追いはぎの恐怖も味わう、往時の旅の厳しさを知る。それだけに各地で見る景勝の数々は、今以上に崇高に見えたのであろう。


・ 『陸軍“めしたき兵”奮戦記―異色の戦記〈1〉』(「丸」編集部/光人社NF文庫)

 炊事、電信、整備、軍楽隊など、従来の戦記ではあまり語られることのなかった兵士たちが語る、戦争の記録。野戦重砲連隊のノモンハン戦の描写は生々しい。戦争は英雄や名将だけのものではない。また8月15日がやってくる。


・『居合道読本』(西内雅編著/おりじん書房)

 再読。昭和50年発行、「居合各流範士校閲」の文字が重々しい。分裂前、あるいは直後の全日本居合道連盟の公式書籍のようである。制定当事の全日本居合道連盟刀法5本の解説をはじめ、武道・武術とスポーツの関係性の記述も興味深い。付録の日本刀の予備知識など、170ページの小冊子ながら、基本から参考応用まで実に内容の濃い一冊である。


・『図画百鬼夜行全画集』(鳥山石燕/角川文庫)

 再読。暑気払いに、つらつら眺める。江戸人の創造の飛躍に随行し、就寝前の幻想を楽しむ。がんばり入道ホトトギス・・・。


・『メリイクリスマス』(太宰治/青空文庫)

 主体の不在が、周囲の人々に及ぼす影響というのは、古くは『ゴドーを待ちながら』、近年では『ツインピークス』など、古今東西、戯曲や小説、映画の重要なモチーフである。前半の「ちゃらい」展開から中盤の重さ、そして終盤の不思議な滑稽さと、太宰らしい小説世界が広がる。とりあえず読後は、うなぎと南京豆で、一杯やるしかあるまいね。


・ 『茶湯一会集・閑夜茶話』 (井伊直弼/岩波文庫)

 再読。茶人・井伊直弼の茶道雑記。歴史上の人物である井伊直弼が、語りかけるように茶道のイロハを記述する。こうした時空を超えたコミュニケーションこそ、古典を読む醍醐味だ。



 それにしても、年をとると再読が多くなる。

 20~30代は例年、年間300冊超は楽勝だったが(アパートの押入れの床が抜けること2回)、ここ最近は多分、過半数が再読。年間の読書のうち、初見は多分50冊くらいだろう。

 読書力も、加齢とともに衰えるものよのう・・・。

 (了)
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