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「殺」を意識した打突/(古流柔術)

2020年 02月21日 12:20 (金)

 県立武道館の空手教室では、毎年2月が昇級審査の時期となっている。

 このため稽古も審査向けの内容になるのだが、あくまでも有級者の皆さんのみを対象にした審査である。

 ゆえにこの時期の稽古では、

「審査に関係のない有段者の皆さんは、できるだけ指導やアドバイスに回ってください」

 ということなので、私も有級者の皆さんを見て、気づいたことはできるだけ助言するように心がける。

 先日の稽古で一番気になったのは、中段突きで突く位置が高すぎる人が多いということだ。

 多くの人が、中段突きなのになんとなく己の喉あたりの位置を突いているので、水月の位置を正しく打突するようにアドバイスをする。

 思うに、突きの位置があいまいになってしまう人は、「殺」(急所)の意識が希薄なようだ。

 話を聞いてみると、上段突きは顔、中段突きは首から下くらいの大雑把な意識しかないようである。

 そこで上段なら人中あるいは下昆、中段なら水月または膻中と、「殺」の部位をしっかりと意識して突くことを強調した。



 この点は、翠月庵で古流の柔(やわら)を指導・稽古する際にも、常に留意しているところだ。

 殺活の伝は、どの流儀でもそれが伝授されるのは免許皆伝者など上級者のみに許されるものだが、実技としての「殺法」(急所への当身)は、初学の頃からしっかりと学び体得ができるよう、初歩で学ぶ形からすでに含まれているのが一般的だ。

 ことに水月の殺は、柔術の当身殺法における基本中の基本であり、かつ奥義でもあるだけに、初学のうちからしっかりと身体に覚え込ませ、無意識のうちにでも自然に当てることができるように鍛錬しておかねばならない。

 そういう意味で、例えば柴真揚流柔術早業では、一番最初に学ぶ形である表早業居捕の1本目「左巴」から、水月への蹴足で相手を当て殺すことが形=業=術の眼目となっているのは、たいへんに興味深い。

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▲居捕の1本目から蹴足で当て殺して極める、柴真揚流柔術



 なおちなみに、柴真揚流では水月の殺以上に、電光の殺を多用することも特徴的だ。

 電光の殺について、井ノ口松之助著『柔術生理書』では、

「此の法は、最も危撃にして万一を誤ればまた回復することなし難きに至るを以て、多く戦場等最も大事の場合にのみ施し、普通に用ゆる事なし」

 としている。

2002_電光
▲古流柔術を学ぶ者なら必携の名著・『殺活自在 接骨療法 柔術生理書』(井ノ口松之助著/八幡書店)より



 打撃系の武道や格闘技をやっていた人ならだれもが実感している通り、水月への当ては筋肉を固めてこらえることがある程度可能だが、電光の当て、いわゆるレバーブローは、ひとたび当てられたらどうにも耐えることが難しいほど効く。

 あれは、本当にきつい・・・。

 柴真揚流柔術では、そこを徹底的に殴り、そして蹴ることを教えるのである。

 さすが、悪者を素手で殴り殺していたら自分の手が痛くなったので、落ちていた瓦を拾って引き続き殴り殺したという流祖が創った柔術だけのことはある(爆)。

 いずれにしても、空手道にせよ古流の柔にせよ、そこに武術としての制敵要素を求めるのであれば、当身については「殺」を意識した打突を常に心がけ、それを徹底的に身につけておくことが大切だ。

 (了)
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