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簑助の至芸に酔う/(身辺雑記)

2019年 09月23日 18:41 (月)

1909_文楽



 本日で、令和元年9月の国立劇場文楽公演は千秋楽。

 私は9月中旬の某日、親しい人と連れ立って第一部の『心中天網島』から、第二部の『嬢景清八嶋日記』、『艶容女舞衣』までを通しで鑑賞した。

 近松の最高傑作と言われる『心中天網島』では、人間国宝・吉田和生とその次代を担う桐竹勘十郎による、小春と治兵衛の美しくもはかない道行、そして「闘う三味線」こと人間国宝・鶴澤清治の磨き上げられた太棹の音色を存分に楽しむことができた。

 『艶容女舞衣』では、吉田一輔のあやつる美濃屋三勝のしとやかな動きが目をひいた。

 そしてなにより、『嬢景清八嶋日記』である。

 人形浄瑠璃文楽の生けるレジェンド、人間国宝・吉田簑助の至芸を、最前列1列目ほぼ真ん中の席から、じっくりと堪能することができた。

 昨年は、明らかに体調がすぐれないように見える公演もあったが、今回はヒロイン糸滝を最初から最後まであやつり、その可憐でしなやかな、情感あふれる芝居を心ゆくまで楽しませていただいた。

 また、昭和最後の名人・竹本越路大夫の直弟子である竹本千歳太夫の奥行のある語り、鶴澤清介の冴えた三味線も実に聞きごたえがあった。

 そして今回感じたのは、簑助の名演によって相手役である悪七兵衛景清を操る吉田玉男の演技が、目に見えて引き立てられていたことである。

 玉男は第一部の『心中天網島』でも、粉屋孫右衛門を遣っていたが、その時よりも『嬢景清八嶋日記』で蓑助操る糸滝と絡んでいるときの方が、明らかに生き生きと、情感あふれる見事な人形捌きになっていた。

 上位者が下位の者の業を引き立てる。

 これは武芸の修練にも通じることであり、私もひとりの武術師範として、常にそのようにありたいものだと思う・・・。

 ま、そんな武張った話はさておき、まる一日、たっぷりと文楽を楽しむことができた至福の時であった。

 文楽は本当にいいね。


 (了)
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