FC2ブログ

03月 « 2020年04月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  » 05月

日曜雑感 ― 雨、年金、武芸の門/(身辺雑記)

2019年 06月23日 20:45 (日)

 雨が好きなので、10年以上も前から「翠雨」を雅号にしている。

 一方で翠月庵の稽古場は野天なので、雨が降ると稽古ができない・・・。

 タイミングよく近くにある武道館の個人使用ができれば、そちらに代替するのだけれど、そんなことはなかなかにない。

 おかげで先週、先々週と2週続けて、土曜の定例稽古は雨天中止となってしまった。

 しかたがないが、そういう時は皆さん、家で居合でも抜いておいてください。

 別に家で手裏剣を打ってもらってもかまいませんが、家具の破損とご家人の皆さんへのフォローをお忘れなく。

 武芸に関心の無い家人の皆さんからすれば、穏やかな土曜の午後に部屋で刀を引っこ抜いたり、とがった鉄の棒を畳に突き刺したり、狭い畳の上でひとりで見えない何かと取っ組み合いをして喜んでいる人は、ただの変人ですよ・・・・・(笑)。

 *  *  *  *  *

 世の中では、老後に必要な2000万円問題で盛り上がっているようだが、これは医療・介護業界ではすでに何年も前から指摘されていたことである。

 また、後出しじゃんけん的で恐縮だが、私もちょうど今年のお正月頃に、

 「今の年金制度では、老後は3000万円以上の貯蓄が必要ですよ」

 という記事を、とある書籍に執筆したところだ。

 それが今回の件で突如、「年金と老後の資金」問題が世間様の注目を浴びることになったわけだが、個人的には、

 「何を、いまさら・・・・・・」

 という感である。

 しかも、この2000万とか3000万とかいうのは厚生年金を夫婦で満額もらう世帯の試算なので、私のように国民年金だけの人の場合、老後の経済はさらに悲惨である。

 なんてったって今の給付水準では、国民年金は満額でも月に6万円ちょっとしかもらえないのだ。

 それでも夫婦者であれば2人合わせて月12万円で、なんとか生活保護レベルギリギリの暮らしは送れるのだが、私のような独り者は、それも無理である。

 1か月6万円で、現代の日本人は生きていけませんね。

 だからこそ日々の暮らしの中、100円単位で節約をしながら、千円、一万円といった少額でもコツコツ貯蓄し、来るべき悲惨な老後に備えるしかないわけです。

 おかげで、10年以上も前に買った袴の破れを自分でチクチクと繕い、木太刀のささくれは丁寧に補修しながらできるだけ長く使えるように気をつけ、手裏剣は剣尾を打って切先がチビないようできるだけ正確に刺すなど、爪の先に火をともすようなつつましい暮らしの中で、なんとか武芸の稽古を続け、励んでいるわけだ。

 *  *  *  *  *

 武術・武道の稽古を続けていくには、まことに残念なことだが金がかかる。

 習う人であれば、武具の費用、月謝や謝礼、昇級・昇段のための費用、試合や演武に参加するための経費などなど。

 さらに教える立場になれば、稽古会や稽古場の維持費、的や武具等の消耗品費もかかる。

 富裕層の皆さんからすればなんということもないのだろうが、我々のような庶民にとっては厳しい出費だ。

 一方で武術・武道が痛快だなと思うのは、お金をかければ必ず上達するわけではないし、金持ちというだけでア・プリオリに強くなれるわけでもないということだ。

 貧しくてもきちんと稽古をすれば必ず上達するし、所得が低い人でも工夫してしっかりと鍛錬をすれば必ず強くなれる。

 それは試合中心の競技武道でも、形稽古が中心の古武道でも同じである。

 貧富の差に関わりなく、稽古を積み、工夫をした人たちだけが上達し、強くなり、見事な業前を習得できる。

 こうした清々しい下剋上、明快な実力主義が、私のような「持たざる者」からすると、武術・武道の大きな魅力のひとつだ。

 これからの時代、ますます貧富の差が拡大し、格差が露わな社会になっていくのだろうが、

 「武芸の門は貧富の差に関わりなく、すべての人に開かれている」

 べきものだと、私は想う。

 そんな、ささやかな理想実現のために、自分自身、先師・先人に恥じない業前が得られるよう、日々稽古に励んでいく所存だ。


1906_柳剛流_長刀
▲柳剛流長刀 「上段右足」


「秘伝の長刀(なぎなた)を伝授の上は、諸流剣術多しと言えども負くること之有るまじく候」(柳剛流剣術免許巻より)


 (了)
関連記事
スポンサーサイト