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『柔術生理書』を読む/(古流柔術)

2019年 03月08日 17:02 (金)

 最近、柴真揚流の稽古に力を入れていることもあって、久しぶりに書架から井ノ口松之助の『殺活自在・接骨療法 柔術生理書』を取り出し、寝る前などにつらつらと再読している。

 この書物の中心となるのが、「当身の解」という天神真楊流における殺法の詳細な解説である。

 この「当身の解」は、小佐野淳先生の名著であり、私の長年の座右の書でもある『日本柔術当身拳法』(愛隆堂)において、師が平易な現代語に訳して掲載されているので、そちらを読めば誰でも同流の殺法のキモを理解することができる。

 師の著作に平易な抄訳があるので、あえて難解な明治期の文語でまとめられた原著を読むこともないのであるが、時には往時の時代がかった重々しい言葉で、当身について読むのも良いものだ。

 また、『柔術生理書』のもう1つの大きなテーマとなっているのが、蘇生法や接骨法、薬用法などの、いわゆる活法である。

 これらをみると、たとえば蘇生のための活法には、仙台藩角田伝柳剛流の免許で伝えられる、口伝の「法活」と同様の方法がいくつか見られるのが、とても興味深い。

 流儀の秘伝であったろう、こうした殺活の秘術を、公刊の書物で惜しげもなく公開した明治後半の柔術家たちの想いとは、いったいどのようものであったろうか・・・。



 ところで、本書の薬用法の中に、「腋下狐臭ヲ去法」というのがある。

 これについて筆者の井ノ口が、

 「是ハ柔術剣術ノ稽古ヲナスニハ實失敬ノ至リ故ニ去ルベシ」

 と書いてあるのが、なんとも微笑ましい。

 おそらく著者の井ノ口も、不潔で臭い相手との稽古で苦労したのだろう。

 やっとうでも柔でも、疾患としての腋臭症の人はしかたがないが、単なる本人の無精で稽古着が臭かったり体臭がひどい者というのは、本当に迷惑だ。

 その昔、某稽古会の同門で、稽古着がいつもたいへんに臭いヤツがいて、何度注意してもいっこうに改善しようとしないので閉口したことがある。

 無精・不衛生で臭い奴というのは、実に迷惑なものだ。

 武術・武道に専念するなら、稽古着は最低でも4~5着は用意して、稽古の後は必ず毎回、部屋干しトップでキレイに洗えよなと思う・・・、ま、あの当時、部屋干しトップはなかったけれども。

 ちなみに翠月庵では、稽古着が不潔で臭い者は、出入り禁止である。

 ま、幸いなことに、そんな門人はいまのところ、一人もいないけどね(笑)。



 もう1つ、『柔術生理書』で興味深いのは、後半部分に掲載されている乱取り技法の解説だ。

 たとえばその中では、「足シギ捕」という名前で、今でいうところのアキレス腱固めが解説されたりしているのも面白い。

190308_柔術生理書
▲その昔、虎と鬼とのアキレス腱固め合戦というのがありましてな・・・



 『柔術生理書』は、以前は高額な古書か、7,000円ちょっとの壮神社版しかなかったが、最近では八幡書店から2,800円の廉価版が発行されており、アマゾンでぽちっとすれば誰でも気軽に入手して読むことができる。

 古流をたしなむ者は、柔術家はもちろん剣術や居合が専修の者も、一度は目を通しておいて損のない名著だといえるだろう。

 「河豚ノ毒当ル時ノ法」もあるぞ!

 とりあえず、桜の木を齧れだと。

 ほんとかよ・・・・・・。

 (了)
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