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覚悟と心映え/(武術・武道)

2018年 10月24日 02:00 (水)

「花というものは自然に咲いておってきれいなものだと思いますが、やはり葉は切らねばならぬものですか」
 と聞いた。千鶴はにこりと笑って、
「源五殿は、人は皆、生まれたままで美しい心を持っているとお思いですか」
「いや、それは……」
 源五が頭をかくと、
「人も花も同じです。生まれ持ったものは尊いでしょうが、それを美しくするためにはおのずと切らねばならないものがあります。花は鋏を入れますが、人は勉学や武術で鍛錬して自分の心を美しくするのです」
 千鶴は静かに石蕗に鋏を入れながら、
「花の美しさは形にありますが、人の美しさは覚悟と心映えではないでしょうか」
 と言うのだった。

 (葉室麟/『銀漢の賦』より)





 武術の鍛練は、「自分の心を美しくする」ためのものであるべきだ。

 武人の心の美しさ=覚悟と心映えとは、弱きを助け、強きを挫き、人に優しく、己に厳しく、義を重んじ、そして恥を知ることだと、私は思う。

 こうした「美しい心」を磨くための、武術の鍛練の場を穢すようなふるまいや、流儀とその先人たちの名誉を傷つけるような行為は、絶対にあってはならない。

 我々、武術・武道に携わる者は、こうした覚悟と心映えを胸に、己を律していかなければならぬ。

      *  *  *  *  *  *  *

 柳剛流祖・岡田惣右衛門の、没後192年の祥月命日を明日に控えた秋の朝、ふとそんなことに想いを致した次第。


 (了)
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