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柳剛流剣術の術理/(柳剛流)

2018年 03月09日 10:27 (金)

 柳剛流の最大の特長は、相手の脚を斬る「断脚之術」である。

 これは「足斬り」だとか「脛斬り」として、時代小説などのフィクションで触れられることも多く、広く世間に膾炙した当流のイメージであろう。



 一方で、他流の武術・武道人や研究者も含めて、ほとんどの人が柳剛流の実技を知らないために、「足斬り」「脛斬り」として珍妙な業の解説や考察がいくつも流布している。

 特に多いのが、帯刀した状態からいきなり足に抜き付けるというものだ。

 試みにグーグルを使って「脛斬り」で検索をすると、どこの流儀の人なのか不明だが、こうした抜き打ちでの脚への斬りを写真入りで解説した上で、

相手の脛が切れるポジションをとるということは実のところ目の前に剣先がくる位置になる。(http://www4.big.or.jp/~suguha/mbn/fumei/sune/sune.htm



 として、「これでは頭が斬られてしまう」と、疑義を呈しているページまである。



 これまでもたびたび本ブログで指摘しているが、相手の脚を斬る技というのは、実は柳剛流に限ったものではなく、たとえば駒川改心流や直心影流、力信流や天然理心流など多くの剣術流派にみられる、ありふれた技だ。

 しかし、柳剛流の「断脚之術」が優れているのは、

1.脚にいきなり斬りつけるといった単純な「技」ではなく、打太刀との攻防の中で相手の脚を斬るべくして斬る、脚斬りに至るまでの「作り」「掛け」「斬り」の理論と実践が「形」として構築され、一連の実技・心法・口伝を包括した「術」として成立していること。

2.脚を斬る際、我の真向を斬ってくる打太刀を防ぐ「術」が明確に示されていること。

3.切紙から目録の教習の中で、上記の理論と実践が「形」を通してはっきりと示され、基本から応用まで段階を追って学べるようになっていること。

4.形稽古だけでなく、撃剣(撓での自由攻防)においても臑当てをつけて打ち合う稽古をすることで、融通無碍な「業」を磨かせたこと。



 以上の4点にある。


 こうした柳剛流の術理からみると、帯刀状態からいきなり抜き打ちに相手の脚に斬りつけるようなものは、「術」どころか「業」以前の基本動作に過ぎない。

 このような初歩的な動作をもって柳剛流の「断脚之術」を語られるのは、心血をそそいでこの術を編み出した流祖に対して、まことに失礼な話しだ。

 一方で他流や一般の人たちに、このような誤解や予断を持たせておくのは、一瞬の勝負で死命を決する兵法としては、重要な「勝口(カチクチ)」のひとつでもあろう。

 なにしろ我々一党は、そのような業の遣い方はしないのだから。



 いずれにしても、柳剛流祖・岡田惣右衛門が編み出した「断脚之術」は、単純に抜き打ちで相手の脚を斬るような初歩的な「技」ではなく、剣と武の理論・実践を包含した奥深い「術」であることは、流儀の末席を汚す者として、何度でも明言する次第である。

1706_柳剛流「右剣」
▲柳剛流剣術 「右剣」


 (了)
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