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武具の安全管理/(武術・武道)

2018年 01月12日 12:37 (金)

 少数とはいえ、門下に武技を指導する以上、事故やケガの防止、安全にはできるかぎり配慮している。

 これは原則的に徒手で行う柔術はもとより、刀や手裏剣など殺傷力のある武具を扱う剣術や居合、手裏剣術の稽古においては、なおさらだ。

 たとえば手裏剣について、長年打っているとどうしても慣れが出てしまい、安全についての配慮がおざなりになってしまう傾向があるのだが、先端のとがった鋼鉄の塊を全力で的に叩きつけるのであるから、安全管理が大切であるのは言うまでもない。

 「人や生き物に向かって打たない」ことは当然だが、「(的の後方も含めて)射界に他者がいる場合は打たない」、「複数人で打っている場合、隣の的で剣を拾っている人がいる場合は打たない」、「手裏剣を打とうとしている人の後ろに接近しない」、「打剣距離が遠くなるほど、剣が失中して跳ね返ってくる距離も長くなる」、「失中して剣が跳ね返る場合、打剣距離の半分は危険範囲」などといった点に、十分に注意して指導することは、手裏剣術者の最低限の責務である。



 古流武術の稽古についても同様で、剣術にせよ居合にせよ、柔術もしかり、指導者が十分な安全管理をしないと、武術というものの性格上、いつなんどき、重大な受傷事故が起きてもおかしくはない。

 ゆえに、稽古場での所作や立ち居振る舞いへの指導はもちろん、稽古で使う武具にも十分な安全管理をしなければならない。

 例えば剣術の稽古では、木太刀が折れてしまうことは稀ではないので、指導者は己の武具はもちろん、門下の使っているものについても、常に目を配っておくことが重要である。

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▲相手の剣の棟を叩いて折るという理合の剣術形を稽古中、本当に折れてしまった白樫の木太刀


 ささくれだっていたり、ひびが入っているような木太刀を使っている場合(そういう人間は、当庵にはいないけれど)、すぐに交換させるか、替えの武具がないのなら稽古を中止させるべきだ。

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▲新品で購入して間もないにも関わらず、切先付近を叩き折られてしまったイチイ樫の小刀



 模擬刀や真剣についてはなおさら、厳格な管理と調整が必要だ。

 以前、稽古中にある門人が模擬刀で居合の稽古をしているのを見ていて、いつもより刀身が撓るなと違和感を感じたことがある。

 そこで、その模擬刀を手に取ってじっくり確認したのであるが、特段不具合はない。鍔も緩んでいないし、柄もしっかりとしていて、刀身にも傷などはなかった。

 しかし、やはりその後も、その門人が居合を稽古しているのを見ていると、どうにも違和感がぬぐえない・・・。

 そこで、当面は、その模擬刀で稽古をする際には、他者がいる方向に向けては振らないように申し付け、可能であれば早々に他の模擬刀を新調するように指導をした。

 そして、それから3カ月後の稽古中、件の模擬刀は、真っ向正面を斬り下げた瞬間、鍔元から折れてしまった。

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▲金属疲労からか、ハバキ元から折れた模擬刀


 手裏剣術の心得に、「刀の切先がちぎれて飛んでいくように」というのがあるけれど、稽古や演武中、振り下ろした瞬間にこのような折れた刀身が、他者に向かって飛んでいくようなことは絶対にあってはならない。



 模擬刀や真剣の不具合の最たるものといえば、鍔鳴りである。

 そんな武具を使っている者がいれば、すぐに稽古場から退出させて修繕させること、そしてその場で修繕ができないのであれば、武具の修繕ができるまで稽古を止めさせるのは、剣術や居合の指導者として最低限の配慮だ。

 たしか数年前だろうか、殺陣を稽古中の俳優が、自らが振るった模擬刀が刺さって死亡するという事故があった。

 この事案は、模擬刀が折れて刺さったという事ではなかったようだけれど、いずれにしても武具に関わるそのような事故が今後は起こらないことを心から祈る次第であり、そのためにも武具の安全管理には十分に留意しなければならない。

 (了)
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