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兵士の故郷(Soldier's Home)/(身辺雑記)

2017年 08月25日 22:00 (金)

 この夏は、初めて埼玉に甲子園の優勝旗がやってきたということで、さぞかし加須あたりは、盛り上がっているのだろう。

 めでたい事である。

 とはいえ、私は埼玉県民になってまだ7年足らずだし、生まれも育ちも伊豆である。おまけに22歳から41歳まで、約20年間東京暮らしをしていたので、埼玉県の高校が甲子園で優勝したといっても、正直あまり感慨はない。

 一方で、「あなたの故郷はどこですか?」と尋ねられれば、「伊豆です」と答えるのだけれど、もう両親ともに鬼籍に入ってしまい、実家も引き払ってしまったので、盆や正月に帰省する家があるわけでもなく、土地との縁はもう切れてしまった。

 では、人生で一番長く暮らした場所である東京人を気取るのかと問われれば、

 「そんな、すだらもにゃあことは、絶対に言えにゃあら」

 と思う・・・・・・。



 埼玉在住といっても、この7年間、地元にいるときはほとんど家にこもって原稿を書いているか、部屋で酔っ払っているか、稽古場や県立武道館で稽古をしているかで、今住んでいる町については最寄りの駅と武道館周辺ぐらいしか土地勘がなく、特段、愛着もない。

 むしろ、柳剛流祖・岡田惣右衛門の生地であり、フィールドワークで何度も足を運んだ幸手市の方が、よほど土地勘もあり、愛着も感じている。

 資金と条件さえそろえば、いっそのこと幸手に引っ越してしまいたいとも思うのだが、何しろ六無斎ゆえ、そんな金も時間も機会もないのが残念である。

  そんなこんなで最近、己の土着性というか、帰属する土地についてのアイデンティティが崩壊気味で、まさに名実ともに、地に足のついていない浮草人生街道を、終点に向けて着実に歩きつつある私なのであった。


170825_石碑
▲埼玉県幸手市にある、柳剛流祖岡田先生之碑


170825_惣新田
▲流祖生誕の地である、埼玉県幸手市惣新田。江戸川沿いの平地に田畑が広がり、その合間に民家が点在する


   「話はそれだけ?」クレブスは言った。
   「そうよ。あなたは、自分の母親を愛してないの?」
   「ああ」クレブスは言った。
    母親は、テーブル越しにじっと彼を見た。その目はキラキラと輝いていた。彼女は泣きだした。
   「だれも愛せないんだよ、ぼくは」クレブスは言った。
                                (『兵士の故郷』E・ヘミングウェイ/高見浩訳)



 (おしまい)
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