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A Prayer for the Dying/(手裏剣術)

2019年 03月09日 23:50 (土)

 思えばもう、3月も上旬が終わる。

 振り返れば先の2月は、無冥流・鈴木崩残氏の祥月であった。

 まことに残念なことだが、彼の晩年、私たちは袂を分かつこととなった。

 しかし、そうであっても、2006年から2015年まで約10年間に渡って、共に手裏剣術の可能性を模索してきたことは、私にとって終生忘れる事の無い記憶である。

 そして、無冥流投剣術の核となる「重心理論」と、手裏剣に関するさまざまな実験や考証の成果は、今も翠月庵流の手裏剣術に脈々と受け継がれている。

140106_円明流手裏剣1
▲鈴木崩残作 円明流手裏剣 写し


 (了)
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一打必倒の打剣/(手裏剣術)

2019年 02月02日 22:12 (土)

 本日は翠月庵の定例稽古。

 今回は手裏剣術の稽古を中心に。

 私は5間直打でゆっくりと肩を慣らした後、2間~3間~4間~5間と移動しながらの連続打ちを稽古。

 その後、門人に手裏剣術運用形を指導する。

 翠月庵流の手裏剣術では、長剣と翠月剣(短刀型手裏剣)による3間直打(順体、逆体、歩み足の運足3種)という基本ができるようになると、次に「手裏剣術運用形」を学ぶ。

 これは、「前敵」、「左敵」、「右敵、「後敵」、「前後敵」、「左右敵」、「突進」の7本の形で構成され、それらがさらに順体と逆体の2パターンあるので、合計14本の形となる。

 「前敵」から「左右敵」までの形は、前後左右各方向への打剣を錬るための形であり、最後の「突進」は正面への打剣から手裏剣を馬手差し(鎧通し)として用い刺突する動作の基本を錬るためのものだ。

 これら運用形は、3間間合で行うのが基本だが、特に初学者については2間間合からの打剣でもよい。

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▲苗木城武術演武会での、翠月庵主による演武。手裏剣術運用形「前敵」を披露。
3間直打・歩み足で、翠月剣を打つ(2016年4月)



 運用形に続いては、動作線上の前後に的を立て、前後打ちと左右打ちを指導する。

 前後打ちについては、1.順体から順体、2.順体から逆体、3.逆体から順体、4.逆体から逆体の4種の打ち方があり、これら4種がさらに、転身の方向によって表(左回り)と裏(右回り)に分かれるので、合計8パターンの打ち方に変化する。

 左右打ちも同様に、合計8パターンの打ち方に変化するので、前後・左右打ちで総計16パターンの運足・体勢から、3間4寸的への的中(単なる刺中ではない)を鍛錬する。

 こうした多様な運足と体の転換を伴う打剣の稽古をしていると、初学者の場合、「何が何だか分からなくなる・・・」ようである(笑)。

 いずれにしても翠月庵流の手裏剣術では、武術としての手裏剣術を習得するために、順体でも逆体でも、歩み足でも送り足でも、前後左右、あらゆる方向にあらゆる体勢で、あらゆる運足を用いながらあらゆる拍子で、一打必倒の打剣ができることを目指すのである。

 ただし、打剣の前に的の前で宙返りをしたり、前転・後転・側転をしてから手裏剣を打つなど、見世物的あるいはパフォーマンス主体のいわゆる「華法」は、身体能力の表現や狭義の打剣技術としては見事であっても、対人攻防としては武術における拍子の位や間積りを無視し、動作そのものに居着いた無駄で不必要な動き、いわば「死気体」であり、そのような打剣は当庵では是としない。

 翠月庵流の手裏剣術の極意は、ただスタスタと無心に相手に歩み寄り、踏み込んで剣を放ち、一撃で相手の死命を制する、

 「生死一重の至近の間合からの、渾身の一打」

 である。

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▲香取神宮境内での奉納演武にて、50名以上の居合道家を前に、
「刀法併用手裏剣術」の形を披露する(2007年5月)



 本日の稽古のシメは、柳剛流長刀(なぎなた)の指導。

 柳剛流の長刀は免許秘伝の業であるが、その体動はあくまでも、修行者が最初に学ぶ柳剛流剣術の「右剣」や「左剣」の延長線上にある。

 この2つの剣術形に習熟してこその、極意の長刀なのだ。

 こうした点をしっかりと門人に説明しながら、みっちりと打太刀を務めた。



 さて本日の稽古で、武術伝習所 翠月庵の行田稽古場での稽古は、通算399回となった。

 来週で400回である。

 開庵から、足かけ12年。

 当庵で手裏剣術の稽古をした人の数は、延べ人数で300人以上となる。

 「延べ」人数でね(苦笑)。

 そのうち7間以上を直打で通したのは、私と翠月庵師範代の吉松章氏を含め、計3名。

 翠月庵流手裏剣術の「目録」を受領した門人は2名。

 花も嵐も踏み越えて、たかが400回、されど400回・・・・・・。

 (了)

「離れ」をおしまぬ事/(手裏剣術)

2018年 11月24日 21:43 (土)

 本日は翠月庵の定例稽古。

 久々に一刻の間、ひたすら打剣に専念する。

 ここのところ、手裏剣の稽古は柳剛流に比べて二の次だったこともあってか、最初は基本中の基本である3間直打で難渋する。

 これでは到底、手裏剣屋とは言えんね・・・(苦笑)。

 1時間ほど打っていると、ようよう感覚が戻ってきて、なんとか4間直打、板金を打つ心(フルパワー)で、尺的程度には集剣するようになった。



 しかし、何年やっていいても、手裏剣は難しい。

 そして打剣の要諦は、つまるところ「手離れ」、この一点であることを改めて実感する。

 首落ちするのは、すべからく、手離れを惜しむからだ。

 知新流の印可伝授書に、

剣の上より立つは離れを惜しむ故也。 手離れをおしまぬ様に心得打つ事専一なり。



 とある通りである。



 この冬は改めて、手裏剣術にも気を入れて稽古しなければ。

 板金を打つ心での、4~5間尺的と3間4寸的について、より精度を上げていきたいと考えている。

 また、飛刀術や刀法併用手裏剣術についても、この冬はみっちりと稽古していこう。

 なんといっても手裏剣術は、翠月庵にとっては12年来の表看板なのだから。

 精進せねばなるまい。

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 (了)

秋の翠月庵/(手裏剣術)

2018年 10月15日 11:30 (月)

 先週末の翠月庵の定例稽古では、ひさびさに門下全員の参加となり、稽古前半は手裏剣術、後半は柳剛流の稽古に専念した。

 「門下全員」などいうと大層なことに聞こえるが、実際にはわずか3名であり、当庵で稽古しているのは、私自身を含めてたった4人である。

 しかし、これを「4人しかいない」ととるか、「4人もいる」とするのかは、気の持ちようだ(苦笑)。

 一方で3名の門人は、全員が何らかの武芸(手裏剣術、居合道、杖道)の師範であり、そういう意味では精鋭ぞろいということで、指導する私としても充実した稽古ができるのがうれしい。

(もちろん当庵では、武術・武道未経験者の入門も随時受け入れており、武芸の初歩から懇切丁寧に指導するので、そこんとこヨロシク)

            *  *  *  *  *  *  *

 手裏剣術は、入門2年目のS氏、3年目のU氏の両名が、なんとか3間順体(歩み足)直打での、威力のある的中(単なる刺中と的中は異なることに注意!)がぼちぼち出始めたので、本日から順体(送り足)と逆体での打剣を指導する。

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▲間合い2間半~3間から順体(送り足)直打での打剣の稽古。江戸期に興隆した知新流は、こうした順体送り足での打剣を採用していた。順体(歩み足)や逆体に比べると力を乗せにくいが、それでも4間直打程度までは威力のある打剣が可能である。

 
 その後、刀法併用手裏剣術の形を一本目の「先」から七本目の「前後敵」までおさらい。

 刀法併用の手裏剣術は、根岸流のほか最近では立身流や現代忍者(?)の方々も、演武や動画を公開しているようである。

 古流の知新流(すでに失伝)でも、刀法併用手裏剣術は重要視されていた。また、現代手裏剣術の代表である明府真影流でも、先代の染谷親俊師範は香取神道流仕込みの見事な刀法併用手裏剣術を、その著作で公開されている。

 特に、私は個人的には、染谷師範の座業による刀法併用手裏剣術(明府真影流では「刀術併用業」と称する)に、古流の素養に裏打ちされた深い趣きを感じる。

 翠月庵流の手裏剣術の教習体系では、刀法併用手裏剣術が自在に使えることが技術的な最終目標であり、心法としての最終目標であり極意が「生死一重の至近の間合からの、渾身の一打」である。

 こうした領域を目指して、私自身もさらに精進していかなければならない。


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▲翠月庵流の刀法併用手裏剣術一本目「先」の形。知新流の形を復元したもので、相手が刀の柄に手をかけた瞬間、先をとって順体で相手の顔面に打剣。すかさず抜刀して真っ向正面斬りとなる。きわめてシンプルな形であるが、これが当庵における刀法併用手裏剣術の初学であり、極意でもある

            *  *  *  *  *  *  *

 後半は、柳剛流をじっくりと稽古。

 剣術では「右剣」、「左剣」、「青眼右足頭(刀)」、「青眼左足頭(刀)」について、突杖では「抜留」での杖の操法について、居合は運足と胴造りについて、先の水月塾本部稽古で師より手直しをいただいた点を、門下に細かく伝達・指導する。

 一同、特に柳剛流居合の胴造りと運足に苦心していたが、正しい動きの規矩を理解した上で、コツコツと稽古しながら身体に沁み込ませていきたいものだ。



 秋らしい武蔵野の風を感じつつ、3時間の稽古はあっという間に終了した。

 ああ、やっぱり稽古は楽しいねえ。

 (了)

11周年/(手裏剣術)

2018年 09月01日 21:55 (土)

 本日の定例稽古で翠月庵は結庵から11周年となり、次回からは12年目を迎える。

 長いようで短い11年。継続は力なりである。

 初心にかえり、今日の稽古では存分に手裏剣を打った。

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▲5間間合から的に対すると、だいたいこんな距離感である



 基本の直打。

 5間打ちでなんとかギリギリ尺的というのは、10年以上も手裏剣を打っているわりにはお寒い業前であるが、ま、仕方があるまい。これが今の私の実力だ・・(苦笑)。

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▲板金を打つ心(フルパワー)の打剣で、4寸的に入らない・・・



 次いで久々に、翠月庵の手裏剣術の特長である、脇差を手裏剣に打つ「飛刀術」の稽古をみっちりと行った。

 久しぶりなので、最初の2~3打はいささかてこずったが、だんだんと調子が復活。

 翠月庵で編纂した飛刀術の形である 「上段」、「八相」、「脇構」、「切先返」、「鞘遣上下二刀」、「抜打」で、それぞれ2間~2間半間合から、ガンガンと脇差を的に打ち込む。

 手裏剣があまり上達していない(というか、ちょっと下手になったかも・・・)のに対し、飛刀術は以前よりも調子が良いのはどういうことか・・・?

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▲脇差を手裏剣に打つのは古流剣術の諸流派でもよくみられる遣い方だが、実際に脇差を打って標的に突き刺す稽古を普段からしていないと、現実的にはほとんど刺さらない。何ごとも、実地で鍛練することが重要だ



 稽古のしめは、刀法併用手裏剣術。

 翠月庵制定の「先」、「抜打」、「右敵」、「左敵」、「後敵」、「鞘之内」、「前後敵」の7本の形を繰り返して、本日の稽古は終了。

 稽古場の気温は29度ほどと低めだったが湿度が異常に高く、まるでミストサウナに入っているような中での稽古は、なんともハードであった。 



 それにしても、やはり手裏剣術の稽古は楽しいし、これが翠月庵の原点でもある。

 12年目も、柳剛流をはじめとした古流武術と共に、

  生死一重の至近の間合からの、渾身の一打



 を目指して、手裏剣術もしっかりと磨いていこうと、改めて思った次第である。

 (了)